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kawakami41
9月14日
読了時間: 1分

 2026年の8月23日から28日に京都国際会議場で開催された第32回国際園芸学会に招待され、基調講演(Keynote speech)を行いました。

 今回の国際園芸学会では27のシンポジウムが開催され、川上は温度を含む非生物ストレスに対する分子レベルの反応に関するシンポジウム(International Symposium on Developmental and Molecular Responses of Horticultural Plants to Abiotic Stress, including Temperature)に参加しました。気候変動に伴う温暖化が進行し、作物に及ぼす影響も顕著になっていることから多くの参加者の興味を集めたらしく、このシンポジウムは4日間に渡り、8つのセッションで講演が行われました。川上は、Gnenes and Epigenetics for Climate Resilienceのセッションにて、How Seeds Interpret Temperature: Transcriptional and Hormonal Control of Germinationと題した基調講演を行いました。

 講演内容は、種子が温度を感知して植物ホルモン作用を転写レベルで制御し、発芽のコントロールに至るしくみとしました。クロマチンリモデリングの関与を含め、研究室の多くの学生や共同研究者の協力の下に明らかにしてきた成果です。

 興味のある方は、IHC2026のホームページをご覧下さい。https://www.ihc2026.org/symposia/s07/

 
 
 

 収穫前の種子が母体上で発芽してしまう「穂発芽」は、種子の収量と品質、そして種子製品の品質を著しく劣化させます。このため、コムギなどの穀類栽培、作物の採種の現場では、穂発芽による被害が大きな問題となっています。たとえば、パンやうどんの原材料であるコムギの種子は初夏に成熟しますが、収穫期の多湿な条件は穂発芽を誘導し、種子内で合成された加水分解酵素の働きにより、小麦粉の品質が大きく劣化してしまいます。種子の休眠性は穂発芽耐性に寄与する大きな要因ですが、アブシシン酸は種子に休眠性をもたらす植物ホルモンです。私達はコムギ種子の休眠性を制御することを目的として、アブシシン酸合成の律速酵素、NCEDをコードする遺伝子の発現を、穂発芽が問題となる種子成熟過程で高発現させる組換え遺伝子を作成し、コムギに導入しました。具体的には、種子成熟過程で発現するコムギのEm遺伝子のプロモーターに、ソルガムのアブシシン酸合成の律速酵素であるNCEDをコードする遺伝子を繋ぎ、コムギに導入しました。形質転換植物では、種子胚のアブシシン酸内生量とともに、種子の休眠性が穏やかに上昇しました。強すぎる休眠性は発芽のタイミングと初期成長をばらつかせるため、生産効率を低下させてしまいますが、穏やかな休眠性の上昇は収穫前の穂発芽を抑制しつつ、播種時の斉一な発芽と初期成長を担保すると期待しています。

 本研究は、農研機構・作物研究部門の安倍史高博士、オレゴン州立大学園芸学部の野々垣裕之博士、野々垣万律子博士、理化学研究所環境資源科学研究センターの瀬尾光範博士(現:琉球大学)らとの共同研究として実施され、2023年3月25日発行のPlant Biotechnology誌に掲載されました。



 
 
 

大学院博士後期課程の鄭李鵬さんは、生命科学科の吉竹悠宇志助教、吉本光希教授、理化学研究所の瀬尾光範チームリーダー、農研機構の杉本和彦博士との共同研究により、イネの穂発芽抑制に働く遺伝子(Sdr4: Seed dormancy 4)の機能をモデル植物のシロイヌナズナで解析してきました。鄭さんは、この遺伝子(SFL: Sdr Four Like)が休眠の獲得、および休眠性の低下の両方を促し、休眠から発芽へのタイミングの決定に関わることを明らかにしました。この成果は、2022年8月29日にイギリスの科学誌「The Plant Journal」のオンライン版に掲載されました。


 
 
 
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